ミノキシジルの副作用7つと今すぐできる対処法
- 【記事監修】
渋谷駅前おおしま皮膚科
院長 大島 昇
皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)
日本医師会認定産業医
2005年 筑波大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、三井記念病院、国立病院機構相模原病院、日本赤十字社医療センターにて皮膚科として経験を積み、2014年3月に渋谷駅前おおしま皮膚科を開業。
https://shibuya-hifuka.jp/
詳しいプロフィールはこちら
ミノキシジルは唯一発毛効果が確認されており、薄毛で悩む多くの人に愛用されています。しかし、副作用も存在します。
髪の毛は生やしたいけど引き換えに健康を損なってしまっては元も子もありません。そこで、ミノキシジルにはどのような副作用があるのか、そしてその副作用はどのくらいの期間続くのかについて詳しく解説します。
目次
ミノキシジルの副作用と対処法
ここではミノキシジルの副作用の内容と、対処法を紹介しています。副作用は主に、ミノキシジルのもつ発毛効果と血管拡張効果が関係しています。
初期脱毛
ミノキシジルを使用すると初期の段階で起きる、一時的に抜け毛が増える副作用です。初期脱毛が起きる原因ですが、古く成長が止まった髪が、発毛効果で新たに生えてきた髪によって押し出されて抜け落ちてしまうというものです。場合によっては1日に300~400本抜けてしまうこともあります。
しかし、これはミノキシジルの発毛効果がしっかり作用して新しい髪に生え変わろうとして起きることなので心配いりません。
初期脱毛の時期や期間に個人差はありますが、使用開始から2週間~1ヶ月ではじまり、発症からおよそ1ヶ月で治まることが一般的です。抜け毛が増えてミノキシジルを使う以前よりも薄くなってしまいますが、一時的なものなので新しい髪が生え揃うまで待つ必要があります。
対処法
- 薄毛が目立たないような髪型にする
- 帽子を被ってごまかす
体毛が濃くなる(多毛症)
ミノキシジルの発毛効果が頭皮以外に作用して体毛が濃くなる副作用です。ミノキシジルの発毛成分が、毛細血管を通して全身に運ばれることによって起きます。
濃くなる部分ですが、外用薬では塗布した部分の近く、眉毛やまつ毛など顔周辺。タブレットは腕や足、全身に影響が出ることがあります。人によっては手のみ、足のみが濃くなったりと多毛になる部分に違いがあります。
ミノキシジルタブレット「LONITEN」の開発をしたファイザー社の添付文書には、「10人中8人の患者に多毛症の症状がみられた」と記載されているので、多くの人はどこかしらの体毛が濃くなるのを実感することになるかもしれません。多毛症はミノキシジルの使用をやめると3~6週間で治まりますが、発毛効果もなくなってしまいます。
出典:https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2015/018154s026lbl.pdf
対処法
- 外用薬に切り替える
- 脱毛サロンの利用
- 自分で毛抜きやカミソリを使って処理する
顔や足のむくみ
ミノキシジルの血管拡張効果により顔や足がむくむ副作用です。血液循環がよくなると血中濃度が薄くなります。
濃度を正常に戻すために血管の外に余分な水分を排出して、そこに水分が溜まるとむくみになります。
対処法
- 入浴して血行を良くし、溜まった老廃物を排出する
- むくみが気になる部分をマッサージする
- 利尿剤、もしくは利尿効果のある飲み物を取る(お茶、紅茶、コーヒーなどカフェインを多く含むもの)
低血圧
ミノキシジルの血管拡張作用により血流が良くなり、低血圧になることがあります。低血圧は不整脈や倦怠感、頭痛・肩こりなどの体調不良を起こすことがあります。
体質的に低血圧の人はさらに血圧が下がって体に悪影響を与える可能性があるので注意が必要です。
低血圧の症状はミノキシジルを服用している間続きます。もともと血圧が低い人は医師に相談するようにしましょう。
対処法
- ミノキシジルの濃度を下げる
- 2日に1回するなどミノキシジルの使用頻度を下げる
- 使用をやめる
- 改善されない場合は医師に相談する
肝臓(肝機能)への影響
タブレットタイプのミノキシジルを服用すると起きる可能性がある副作用です。タブレットを飲むとγ-GTPとGPTという数値が上昇すると言われており、この数値が高いと肝機能に異常があるとみなされます。
しかし、これは市販の風邪薬などでも同様に上昇する数値であり、ミノキシジルに限らず飲み薬全般の副作用と言えます。
肝臓は栄養素の代謝、解毒作用、胆汁を合成して体に不要なものを体外に排出するなど重要な働きをもつ場所で、負担をかけないためにも服用するタイミングは注意が必要です。
他の薬と併用するときや、特にアルコールとの併用は厳禁なので飲酒の前後5時間以内は薬を服用しないようにしましょう。
また、ミノキシジルを処方しているクリニックでは、肝機能の数値に異常がないかを確認するため定期的な血液検査を必須としているところがほとんどです。
最近は海外のミノキシジルを個人輸入代行サービスで購入する人がいますが、医師の診察も検査もない個人輸入代行サービスはおススメしません。
対処法
- アルコールは肝臓に大きな負担がかかるので、飲酒する場合は5時間前後空けて服用する
- 服用するミノキシジルの濃度を下げる
- ミノキシジルの服用を2日に1回など頻度を下げる
動悸
心臓の動きが速くなってドキドキしたり、突然ドクンッと大きな拍動が起きて胸が苦しくなる副作用です。
動悸が起きやすくなり、また血圧が不安定になるとめまいが起きやすくなります。
タブレットタイプの使用を始めて間もないころに起こりやすい副作用ですが、継続して使用することで症状が治まることがほとんどです。
対処法として外用薬のみに切り替えるか、使用しているミノキシジルの濃度を下げるなどしてみるといいかと思います。どうしても治まらない場合は使用を中断するか、病院で医師に診てもらいましょう。
対処法
- ミノキシジルの濃度を下げる
- 使用するミノキシジルを外用薬のみに切り替える
- 使用をやめる
- おさまらない場合は病院に行く
頭皮のかゆみ・湿疹・ふけ
主にリアップのような頭皮に塗る外用薬で起きる副作用で、刺激が強かった薬液でかぶれてしまい肌が荒れてしまうことがあります。
ただし、これはリアップに含まれるエタノールやブチレングリコールといった成分が原因の場合があります。
使用をやめても改善しない、または別の外用薬に切り替えを検討している場合は、医師に相談しましょう。
対処法
- すぐに洗い流す
- 濃度を下げる
- 別の発毛剤に替える
- 内服薬のミノキシジルにする
- 使用をやめる
立ちくらみ・めまい
ミノキシジルの血管拡張効果によって血圧が急激に変化し、脳の血圧が不安定になると起きる可能性があります。これらの症状が起きた場合は、しばらく横になり安静にしてください。
対処法
- 使用するミノキシジルの濃度を下げる
- 外用薬のみの使用に切り替える
- 使用をやめる
- おさまらない場合は病院に行く
タブレットや塗り薬など、タイプ別の副作用
ミノキシジルはタブレット、塗り薬、注射の3つのタイプがあります。使用するタイプによってそれぞれ起きる副作用が異なります。
タブレット(内服タイプ)の副作用
ミノキシジルタブレットの副作用には、以下のものがあります
- 初期脱毛
- 多毛症
- むくみ
- 低血圧
- 肝機能障害
- 動悸
- 立ちくらみ・めまい
タブレットは肝臓で成分を分解して血液によって全身に届けます。多毛症、肝臓、心血管系に影響が出る副作用のリスクがあります。
リアップなど外用薬(塗り薬)の副作用
頭皮に塗る外用薬の副作用は、以下のものがあります。
- 初期脱毛
- 多毛症
- 頭皮のかゆみ・湿疹・ふけなど
- 立ちくらみ・めまい
- 動悸
- むくみ
頭皮のかゆみ・湿疹・ふけは、頭皮に直接塗る外用薬ならではの副作用です。
副作用が起こる確率は?ミノキシジルを使うと絶対におこる?
ここまで副作用について説明しましたが、それはどれくらいの確率で起きるのでしょうか。
副作用が起こる確率は100%ではなく個人差がある
ミノキシジルを使用したからといって全ての人に副作用が起きるとは限りません。副作用が起きる確率について、ミノキシジル5%を配合した外用薬のリアップX5プラスを対象に、厚生労働省に管轄を置いている医薬品医療機器総合機構によって調査が行われました。その報告書には、副作用の発生確率について以下のように記載されています。
安全性について、3,072例を解析対象とした副作用発現症例率(以下、「高1作用発現率」)は8.82% (271/3,072例)
出典:http://www.pmda.go.jp/otc_reexam/2014/i20140702001/400059000_22100APX00105000_Q100_1.pdf
上記のとおり、リアップX5プラスの副作用発現率は8.82%でした。このうちのほとんどは皮膚疾患によるもので、血管拡張効果が関係した副作用はわずか0.26%です。
プロペシア(フィナステリド)との併用
ミノキシジルに並ぶ薄毛治療薬としてプロペシアというものがあります。クリニックでは薄毛治療にこの2つの薬の併用を推奨しています。プロペシアの主成分はフィナステリドで、AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の発生を抑制し、AGAの進行を遅延させる効果があります。
併用すると効果と副作用はどうなるのか、またプロペシアにはどういった効果と副作用があるのか説明します。
併用することで高い発毛効果が期待できる
ミノキシジルとプロペシアは併用することで高い発毛効果が期待できます。ミノキシジルは発毛効果、プロペシアは脱毛防止効果があり、それぞれ異なる役割で薄毛治療に相乗効果をもたらします。
プロペシア(フィナステリド)の副作用
副作用は主にリビドー(性欲)減退やED(勃起不全)です。臨床試験ではそれぞれの発現率について、リビドー減退が1.1%、EDが0.7%と報告されています。
ただし、これらあくまで自覚症状です。プロペシアは性欲に関する男性ホルモンに作用しないので、気持ちの部分が大きいと言われています。
併用することで発生する相互作用はない
ミノキシジルとプロペシアの成分が混ざることで健康に害を及ぼす相互作用がでるということはありません。しかし、両方とも医薬品なので併用すると副作用のリスクは高くなります。
また、2錠分の成分を分解しなくてはならないので肝臓へ大きな負担がかかります。併用する際は服用のタイミングをずらすなどして対策するとよいでしょう。
子作りへの影響は?
プロペシアの添付文書によると、海外での試験成績では精液中への移行量は極めて微量との結果がでています。しかし、プロペシアの添付文書には以下の副作用について記載されています。
- 精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)
頻度不明。本剤の投与中止後に、精液の質が正常化又は改善されたとの報告がある。 - 精液量減少
発現率1%未満
出典:プロペシア添付文書
プロペシアを服用していても子作りに大きな影響はないと言えますが、子作りの予定がある場合は医師に相談するとよいでしょう。
女性の服用は厳禁
妊娠中や授乳中の女性がプロペシアを服用するのは厳禁です。皮膚から成分を吸収する性質を持っているので触れてもいけません。
男子胎児を妊娠している女性がプロペシアを服用すると、胎児の男性ホルモンに影響が出て、生殖器の発達が正常に行われない危険性があります。また、授乳中は子供が母乳からプロペシアの成分を摂取してしまうので、これも生殖器の発達に影響が出るおそれがあります。
しかもプロペシアは女性の薄毛には全く効果がなく、デメリットしかないのでなるべく近づかないようにしましょう。
女性向けミノキシジルの副作用
男性向けと女性向けで育毛剤に含まれる成分が少し異なります。そこで、女性向けのミノキシジルを使用した場合、男性向けでは起きない副作用が表れるのか説明します。
リアップリジェンヌの副作用
リアップリジェンヌは大正製薬から販売されているリアップの女性版です。結論から言いますと、男性向けと起きる副作用は変わりません。下の画像はリアップリジェンヌの取扱説明書で、副作用について説明されています。
出典:https://www.catalog-taisho.com/explanationbook/06833_Explanation1.pdf
記載されている内容は男性向けのリアップX5プラスの説明書と同じです。リアップX5プラスとの違いですが、リアップリジェンヌにはヒアルロン酸やクエン酸、パントテニールエチルエテールというビタミンB群の一種が含まれており、髪と肌の保護を優先に作られています。これらの成分は一般的に化粧品やサプリメントなどに含まれており、健康に被害を及ぼすような副作用はありません。
ちなみにリアップリジェンヌの先発品「リアップレディ」の臨床試験結果があり、副作用の発現率は13.6%でいずれも軽度な刺激感、接触性皮膚炎などの皮膚症状で、重篤な症状はないということです。
女性が男性向けのリアップを使うとどうなる?
ちなみに男性向けのリアップX5プラスを女性が使うとどうなるのかについてですが、リアップの公式サイトでは「日本人女性の安全性が確認されていないため、女性の使用は非推奨」だと公表されています。
男性向けに作られているので発毛効果は高いですが、その分強い有効成分が使われているので女性の体には負担がかかります。副作用が起きる確率も高くなります。女性でも使えないことはないですが、それが原因で体に異変が起きてもすべて自己責任になりますので使用の際はご注意ください。
個人輸入ミノキシジルのリスク
個人輸入は高いリスクがあり、そこで購入した薬を服用して死亡するというケースも発生しています。ここでは個人輸入での購入はどういった危険性があるのかについて説明します。
偽薬の可能性が否定できない
パッケージは正規品と酷似しており、薬も普通の外見をしているが成分がまったく効果のないもので作られていたり、発がん性物質が含まれていることがあります。
日本国内でED治療薬を製造・販売している製薬会社4社は、個人輸入代行業者のWebサイトから購入した医薬品を鑑定調査したところ、約4割が偽造品であったという驚愕の結果が発表されました。
日本およびタイの調査会社に依頼して発注、入手したED治療薬を鑑定した結果、国内外の合計で 約4割(40.0%、28/70)が偽造品であることが判明しました。国内発注分で約4割(35.6%、16/45)、タイでの発注分では約5割(48.0%、12/25)が偽造品でした。
出典:http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2016/2016_11_24_02.html
個人輸入は安いとはいえ、副作用が起きて高い治療費を払うようなことになってしまえば元も子もありません。個人輸入は問題が起きても保証はなく、自己責任になりますので注意しましょう。
どのような副作用があるか不明
服用した薬が偽造品であった場合、予期せぬ副作用が起きる可能性があります。
偽造品はでたらめな成分で作られており、それで副作用が起きても原因を特定できないので適切な処置をしてもらえない可能性があります。
少なくとも対処の目途が立つまでに多くの時間が必要になります。
ミノキシジルやプロペシア等のAGA治療薬は、専門医による診察のうえ血圧測定や血圧検査等をしっかり行ったうえで処方してもらうようにしましょう。
手軽に発毛するなら「メディカルミノキ5」がおすすめ
「スカルプD」ブランドのアンファーが発売した発毛剤
発毛成分ミノキシジルを5%配合
内服薬よりも副作用が少なく通販でも購入可能
1日2回、頭皮に塗布するだけ
1ヶ月6,750円~とリアップX5プラスよりも安い
メディカルミノキ5とリアップX5の違いについて、詳しくは以下のリンクをご覧ください。
まとめ
ミノキシジルには主に7つの副作用「初期脱毛」「多毛症」「むくみ」「低血圧」「動悸」「立ちくらみ・めまい」「肝機能障害」がある
ミノキシジルには発毛効果と血管拡張効果がある
初期脱毛は、発毛効果によって、一時的に抜け毛が増える副作用
多毛症は、発毛効果が頭髪以外に作用して体毛が濃くなる副作用
むくみ、低血圧、動悸、立ちくらみ・めまい、などの心血管系の副作用が起きる可能性がある
肝機能障害は、タブレットタイプを服用すると起きる可能性がある
頭皮のかゆみ・湿疹・ふけの副作用は、外用薬タイプを使用すると起きることがある
タブレット、塗り薬それぞれで起きる副作用は異なる
副作用が起きる時期や症状は人によって異なる
外用薬を使用すると「8.82%」の確率で副作用が起きるが、いずれも頭皮の痒み等重篤なものではない
ミノキシジルはプロペシアと併用すると高い効果が得られる
ミノキシジルとプロペシアの併用で相互作用はない
妊娠中と授乳中の女性はプロペシアの服用および触れることは禁忌とされている
外用薬のミノキシジルは女性向けと男性向けで発生する副作用は同じ
ミノキシジルの個人輸入は偽造品の可能性がある
石水 朋哉

最新記事 by 石水 朋哉 (全て見る)
- 通院不要で治療費も節約!オンライン診療対応のAGA治療クリニックおすすめ5院 - 2020年4月29日
- 育毛剤がAGAの薄毛に効かない3つの理由と正しい対策 - 2019年3月22日
- 50代でも生える!原因を理解して始める3つの正しい薄毛対策 - 2019年3月12日
