発毛は期待できない?皮膚科のハゲ治療について
- 【記事監修】
金井 伸一(毛髪診断士)
AGAの悩み解消につながる情報をお届けします!
病院の皮膚科や皮膚科専門病院では、ハゲの治療である「AGA外来」を行っているところが増え、気軽にハゲ治療を行うことが出来るようになりました。しかし、
- どんな治療をするの?
- 保険はきくの?
- 本当に効果はあるの?
と疑問に思うことは多いと思います。
また、ハゲの治療は皮膚科病院だけでなく、治療から発毛までを行う専門のクリニックも存在します。費用や効果の面でメリットが多いことから、ハゲ治療を受ける人のほとんどは専門クリニックに通院しています。
ここでは、皮膚科病院のハゲ治療について詳しく説明するとともに、もう一つの選択肢である専門クリニックとの違いを様々な角度から比較し、あなたにとってどちらで治療を受けた方が良いかを解説します。
ハゲの主な原因はAGA
薄毛に悩む日本人男性は1,260万人と言われており、これは成人男性の3人に1人にのぼります。そしてその原因のほとんどはAGA(男性型脱毛症)です。
AGAは主に、遺伝や男性ホルモンが関係していると考えられており、治療でしか治すことができません。
そこで、治療方法や費用の説明に入る前にまずは、
- AGAとは?
- AGAで薄毛になる仕組み
といったAGAの基本的なことをわかりやすく説明していきます。
AGAとは
AGAとは、30~50代に多く見られる進行性の薄毛です。
AGAの薄毛には特徴があり、以下の部分から進行が始まります。
- おでこの生え際
- 前頭部
- 頭頂部
以上の部分が薄くなり始めたらAGAのサインです。AGAの進行度合いはⅠ~Ⅶに分けられ、治療をせずに放置した場合どうなるのか以下の図のように一目でわかるようになっています。
上の図を見て分かるように、AGAはどこからはじまったとしても最終的にⅦのような状態になります。AGAを治療せずに放っておくとやがて髪が生えなくなり、後頭部と側頭部の髪を残してツルツルの頭になります。
AGAはDHTが原因
AGAの原因は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)です。
DHTは男性ホルモンのテストステロンと、5αリダクターゼという酵素と結びついて生成されます。DHTは毛母細胞内の男性ホルモン受容体(レセプター)と結合して、毛母細胞の細胞分裂を抑制(成長をストップ)します。その結果、髪の毛の成長期間が徐々に短くなっていき、やがて髪は成長せずに生えなくなります。
ちなみにAGAの人でも後頭部は髪がフサフサな理由ですが、これは後頭部の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体(レセプター)がなく、そのためDHTが髪の成長をストップさせることがないためです。
皮膚科で行う治療方法とその効果
ここでは皮膚科で行うAGAの治療方法と、その効果について説明します。
皮膚科の治療方法
皮膚科のAGA治療は、飲み薬による治療のみです。医師から処方される薬を1日1回飲んで、治療を行っていきます。
薬は基本的に1ヶ月分で処方され、1ヶ月ごとに薬を貰いに皮膚科へ通う形になります。
処方される薬とその効果
皮膚科で処方される薬は、主に以下の3つです。
- プロペシア
- フィナステリド(プロペシアのジェネリック品)
- ザガーロ
これらの薬はAGAの進行を遅らせる効果があります。AGAは進行性の症状のため、飲み続けることで進行を遅らせることができます。薬の服用をやめると再びAGAは進行します。
フィナステリドはプロペシアのジェネリックで、プロペシアと同じ有効成分と効果の強さを持ちます。
ザガーロは2016年に発売された新薬で、他の2つの薬より高い効果が期待できます。AGAの進行をより強力に抑えたい場合は、ザガーロの服用が推奨されます。
ちなみに、薬には予防効果もあるため、AGA予防にも使うことができます。
あくまでも薄毛の進行遅延と予防であり、発毛は期待できない
先程紹介した3つの薬は、あくまでもAGAの進行遅延と予防が目的であり、発毛は期待できません。そのため、皮膚科でAGA治療を受けても、そのままの状態が維持されるだけです。
発毛したい場合は、専門クリニックで受けられるミノキシジルを使った治療が必要になります。専門クリニックの治療方法などについては、後ほど説明します。
女性は治療を受けられない
プロペシアやザガーロは女性にとってデメリットしかないため、服用が禁止されています。女性の薄毛はAGAと仕組みが異なり、プロペシアなどを服用しても治すことはできません。
また、薬には男児の生殖器の正常な発達を妨げる副作用があります。妊娠中や授乳中の女性が飲み、その成分が母胎や母乳を通して男児に摂取されてしまうリスクがあります。薬は経皮吸収する性質もあるため、薬に触れてもいけません。
治療費はどれくらいかかる?
皮膚科の治療費を出すときに必要なのは、以下の要素です。
- 健康保険の適用の有無
- 薬代
- 診察料
- 処方せん料
以上の点を踏まえ、皮膚科の治療費がいくらになるのか説明します。
保険は適用されないため全額自己負担
AGA治療は保険が適用されない自由診療のため、全額自己負担になります。また、自由診療は病院側で自由に料金を設定できます。そのため、病院によって治療費がバラバラで、同じ治療であっても数千円の差が開くこともあります。
治療薬の相場
皮膚科で処方される薬の相場は、以下のようになっています。
プロペシア | フィナステリド | ザガーロ | |
相場(1ヶ月分) | 7,000円~10,000円 | 6,000円~9,000円 | 10,000円~13,000円 |
このように、同じ薬でも3,000円ほど変わることがあります。ちなみに、全種類の薬を取り扱っていないこともあるため、自分が希望する薬があるか事前に確認しましょう。
薬代以外に初診料、再診料、処方せん料がかかる
皮膚科で治療を受ける際は診察料がかかります。また、近くの薬局で処方してもらう場合は処方せん料が別途必要になります。診察料などもバラバラですが、おおよその相場は以下の通りです。
初診料 | 再診料 | 処方箋料 | |
相場 | 3,000円 | 1,000円 | 700円 |
治療費は月10,000~15,000円
皮膚科での治療費は、
「薬代+診察料(+処方せん料)=治療費」
になります。これらを合計すると、月に1回の治療費は10,000~15,000円くらいが相場になります。
ちなみに、AGA治療専門クリニックなら、月15,000円前後でフィナステリドと発毛効果のあるミノキシジルの処方もしてもらえます。専門クリニックの治療方法や治療費などは後ほど紹介します。
発毛をしたいなら専門クリニックがおすすめ
AGA治療を受けるのであれば、皮膚科より専門クリニックをおススメします。専門クリニックは発毛治療が受けられる上に、治療費も皮膚科に比べて安いメリットがあるからです。
ここでは、AGA治療専門クリニックとはどういうところなのか。また、どういった治療が受けられるのか説明します。さらに、皮膚科と専門クリニックの費用比較も紹介しますので、治療を受ける時の参考にしてください。
AGA治療の専門クリニックとは?
専門クリニックとは、文字通りAGA治療を専門に行っているクリニックです。AGAの専門知識を持った医師が在籍しており、患者ひとりひとりの進行状況に合わせた治療プランでAGAの治療ができます。
専門クリニックでは無料カウンセリングが受けられるため、薄毛が気になったら気軽に相談することもできます。
また、治療の安全性を考慮して、血液検査や血圧測定などの検査も行っています。さらに、医者と1ヶ月ごとに経過観察を行うため、薄毛の回復状況を見ながらの治療ができます。
このように、専門クリニックなら徹底したAGA治療が受けられます。
専門クリニックの治療方法
専門クリニックの治療法は主に以下の2つです。
- プロペシア(orザガーロ)+ミノキシジルタブレット
- 育毛メソセラピーなどの発毛治療
以上の治療はいずれも発毛効果があり、髪を増やすことが可能です。それぞれ治療方法や効果が異なるため、以下で詳しく説明します。
プロペシア(orザガーロ)+ミノキシジルタブレット
内服薬による治療で、1日1回薬を飲んで治療をしていきます。
ミノキシジルタブレットは専門クリニックでのみ処方をしており、高い発毛効果が期待できる薬です。プロペシア(フィナステリド)やザガーロでAGAの進行を遅延しながらミノキシジルを併用することで、効率よく髪を増やすことができます。AGA治療の中で最も一般的な治療法であり、医師にも推奨されています。
個人差はありますが、治療を開始してからおよそ3~6ヶ月ほどで効果を実感できます。
ちなみに、ミノキシジルは外用薬もあります。日本で販売されているミノキシジル外用薬は「リアップ(大正製薬)」「メディカルミノキ5(アンファー)」があり、ドラッグストアで購入することができます。ただし、外用薬は浸透率が1%と低く効果はあまり期待できません。
育毛メソセラピー
育毛メソセラピーは薄毛が気になる部分に直接有効成分を注入して、発毛を促す治療法です。治療薬より高い効果で期待でき、治療薬で1年半かかる状態のところを6ヶ月に短縮することができます。
また、発毛が難しいと言われる生え際の発毛に非常に効果的です。ただし、1回の治療費が数万円を超えるため、自分に必要かよく考えてから検討することをおススメします。
診察料がかからず薬代も皮膚科よりも安い
専門クリニックの治療費は基本的に薬代のみです。(初診料と定期的な検査費用が必要な場合有り)
そこで、業界大手の「AGAスキンクリニック」を例に、皮膚科の治療費との比較を表にまとめました。
治療薬 | 皮膚科 | AGAスキンクリニック |
オリジナル薬(フィナステリド+ミノキシジル) | 非対応 | 14,000円 |
プロペシア | 7,000円~10,000円 | 初回4,200円(2回目以降7,000円) |
フィナステリド | 6,000円~9,000円 | 初回3.400円(2回目以降6,000円) |
ザガーロ | 10,000円~13,000円 | 初回4,800円(2回目以降8,200円) |
初診料 | 3,000円 | 5,000円(※) |
再診料 | 1,000円 | 無料 |
検査費用 | 検査なし | 20,000円(2回分)(※) |
※AGAスキンクリニックの金額は税別です
※AGAスキンクリニックの初診料、検査費用は随時無料キャンペーンを行っており実質無料
治療費の比較を見ていかかでしょうか?同じ薬でも専門クリニックの方が安いことがわかります。さらに、診察料もかかりません。
専門クリニックでは検査費用がかかりますが、治療薬には副作用が存在するため検査は絶対に受けるべきです。クリニックによっては健康診断の結果を持参すれば、検査が免除されるところもあります。
なによりも、専門クリニックであればミノキシジルで発毛治療が受けられる点が大きいです。
女性でも薄毛治療が受けられる
専門クリニックの発毛治療は、女性でも受けることができます。
ミノキシジルの発毛効果は女性の薄毛にも有効で、男性と同じように発毛が可能です。また、大手のクリニックは女性専門クリニックも別に設けており、女性医師が在籍しているので女性でも安心して薄毛の悩みを相談できます。
皮膚科と専門クリニック比較
以上、皮膚科と専門クリニックについて説明きました。最後に、もう1度それぞれのメリットデメリットをおさらいします。
皮膚科のメリットデメリット
メリット
- 家から近いため通院しやすい
デメリット
- 薄毛の進行遅延、予防の治療しか行っていない
- ミノキシジルの処方をしていないため発毛は期待できない
- 薬代が高く、また診察料や処方箋料がかかるため治療費が高額になる
- 医師はAGAの専門ではないため、薬を処方するだけで検査や経過観察は行わないことがほとんど
- 日曜祝祭日休診、土曜は午前のみ診療のため通院しづらく、混雑しているので待たされる
- 処方している薬が病院によってバラバラで希望の薬がないことがある
専門クリニックのメリットデメリット
メリット
-
ミノキシジル内服薬の処方を行っているので発毛治療を受けられる
-
育毛メソセラピーなど効果の高い発毛治療が受けられる
-
ジェネリックのオリジナル治療薬が充実しており治療費が安い
-
再診料は薬代に含まれている
-
無料カウンセリングがあるので気軽に相談できる
-
通院の度に経過観察をしてくれるため、改善状況を見ながら治療ができる
-
血液検査や血圧測定も行っており、体調の変化をチェックしながら安全に治療を続けられる
-
AGA治療専門の医師が常駐しているため、的確なアドバイスをしてもらえる
-
土日祝日も診療しており通院しやすい
-
予約制なので待たされることがない
デメリット
- クリニックが遠いと通院に時間がかかる(最近は通院不要のクリニックもあり)
皮膚科と専門クリニック比較表
皮膚科病院 | 専門クリニック | |
費用 | 月10,000円~15,000円前後(ミノキシジル処方なし) | 月15,000円前後(ミノキシジル処方あり) |
発毛効果 | ミノキシジルの処方がなく発毛は期待できない | ミノキシジル、育毛メソセラピーなどの治療でほぼ100%発毛できる |
診察料 | 初診料3,000円、再診費用1,000円が相場。処方箋料がかかる場合もある。薬代は別途必要。 | 初診料のみ。2回目以降は薬代に含まれるので無料(クリニックによっては初診料無料キャンペーンを行っているところも多い) |
診察、経過観察 | 受付で薬をもらうだけで診察や経過観察はほとんどない | 通院の度に問診あり。また、頭髪の写真撮影を行い発毛の経過を確認できる |
検査 | 検査自体行っていない | 血液検査など薬の副作用による体調の変化をチェックしてくれる |
通院のしやすさ | 近くにあることが多く通いやすい | クリニックが遠くにあると通院に時間がかかるが、最近は通院不要のクリニックもある |
まとめ
皮膚科と専門クリニックのAGA治療について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
皮膚科で受けられるAGA治療は、AGAの進行遅延をするだけであって発毛は期待できません。
一方、専門クリニックならAGAの進行遅延だけでなく、髪を増やす治療も受けられます。治療費は皮膚科が10,000~15,000円なのに対し、専門クリニックなら発毛効果も付いて15,000円前後です。治療費がほとんど変わらないのであれば、発毛効果がついている専門クリニックで治療を受けた方がお得です。
また、治療費や効果だけでなく、無料カウンセリングや通院不要の遠隔診療などのサービスも充実しています。
AGAの進行遅延が目的であれば皮膚科で十分ですが、髪を増やしたいなら専門クリニックで治療を受けましょう。
金井 伸一
毛髪診断士。「ハゲ活」編集長。25歳で頭頂部から薄くなりあっという間に若ハゲになる。20代30代のほぼ全てをAGA治療に費やす。通院したクリニックの数は10以上。AGA治療に関するお役立ち情報をお届けします。

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